ダマスカスヘジャス駅で入れ替え運転をする754号機(2-6-0T SML 1894年)つかの間の晴れ間、老兵はこれから山岳鉄路に挑む。
小雨のダマスカス市内を駆け抜ける。堂々と併用軌道が引いてあるのは恐れ入った。
El Homeを過ぎるあたりから雨から雪に変わった。重油だきの754の煙は真黒だが白い蒸気も交ざり理想的な煙である。
An Fidje駅では雪模様となる。ダマスから乗っていた乗客は列車から降り早々と家路に就いた。
ヨルダン国境に接する街ダラーも昨晩雪が降った。早朝の機関区でもコーランが鳴り響き162号機(2-8-0 1914年 ボルジッヒ) 出発の準備が進んでいた。
ヨルダンへの分岐駅Kum Gharaで一休み。162号機は圧の調整である。周りは駅舎がポツンとあるだけで国境を感じさせるものは何もない。
ダラー/ボスラの間は広陵とした大地でロケーションに乏しい路線だった。向かい風を受けながら162号はカマの調子が悪いのか進むのがやっとだ。
終点ボスラに近づくと遺跡の円形劇場がある。現在も祭事時に使用されている。廃線とはいえ祭り時には臨時列車が何本も通るという。今日の運転を終えた162号も静かに火を落とした。