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思い出の一枚(投石)
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■投石
マルクワル発クッシャブ行き普通列車を追いかけている時だった。この編成にはSPSの次位に数両の水タンクが連結されている。リラターン駅で出発に間に合ったので機関車の前へと急いだ。
ホームでは多くの女性がタンクから漏れている水を瓶に受けている。この様子を押さえておこうと彼女たちにカメラを向けた。何枚か撮っていると小石が足元に当たった。最初は子供たちが気を引かせようと私めがけて投げているのかと思った。が、投石は雨のように続く。
パキスタン シンド州リラターン駅
うまく交わしていたがこれは様子が違うなとカメラを顔から外した瞬間、げんこつ大の石が顔に直撃した。鼻から唇にかけ私の顔は鼻血と腫れで脹れ上がってしまった。イスラムの女性たちは写真撮影を嫌い住居からの外出も少ない。私はすっかりこの習しを忘れていた。
帰国日、やっと顔の腫れは引いたが傷はまだ完治しない
飲料水の乏しいこの集落では1日1往復の列車を待ち望んでいる。わずかな停車時間に大勢の女性がタンク車めがけて殺到する。みんな殺気だっている。女性を徹底して守ることを教育されているのであろうか、写真を撮らせまいと男の子たちが防御していたのだ。
旅は始まったばかり、私の顔は腫れ上がり喋ることさえきつかった。そして毎度の食事はカレー、香辛料の辛さも加えて唇の痛みに絶えなければならずこの辛さは帰国まで壮絶だった。
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