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CHINA/中華人民共和国(シルクロード蘭新線の旅・上)
蘭州駅。甘粛省最大の工業都市蘭州は人口200万人。古代より河西回廊の重要都市として栄えた。カザフ、チベット族他少数民族が行き交う地域でもある。
中国国鉄でもウイグル、チベット、内蒙古自治区への起点となる主要駅である。列車の到着時は相変わらず乗客は殺気だっている。その光景はもうお馴染みである。
80年代はまさに蒸機王国だった。西安、宝鶏からの蘭青線は電化区間であり蘭州から先は未電化区間である。(現在は哈密まで電化?)蘭州駅構内では客車、貨物列車の入れ替えもJF(解放型)が受け持ち忙しく駆け回っていた。
私は上海ーウルムチ間を走る53特快に乗り込んだ。ウルムチまでは約38時間の旅なのである。
蘭州市の街は黄河沿いに細長く発展している。周りを丘陵に挟まれた盆地である。市街南の昊蘭山中腹に五泉山公園がある。5つの泉がわき出てそれぞれの水を飲めば病に効いたり子宝にも恵まれると伝えられている。
五泉山公園下を蘭新線が走っている。工業都市の市内はスモッグで煙っていた。
蘭州から西固城(32キロ)には一日、四往復の市郊列車が設定されJFが引いていた。今では贅沢な長編成の列車である。蘭州西駅郊外。
特快52/53は上海ーウルムチ間をまる3日間かけて走る。蘭州を過ぎてもまだ半分の距離と時間は経っていない。全線乗車はさすがに少ないが硬座車(普通席)や硬臥車(B寝台)では車内での食事や洗濯で生活感が溢れている。若者はトランプや麻雀などに夢中で様々な汽車旅を楽しんでいる。
蘭州から123キロに中堡は突起した山々が連なっていた。前進型が引く短い貨物列車が谷を縫うように走って来た。
標高も段々と高くなってきた。石門河の沿線は祁連山脈の麓である。5月なのに春の気配もなく閑散としている地域だった。
打柴河の村を歩いていると少女達が興味津々に私を見ている。線路脇で1時間もぶらぶらしていただろうか、やっと不安を払い慣れてきた少女達は私にささやかな舞を披露してくれた。
さて次回は中国蒸機愛好家にとってかつて誰もが憧れだった烏鞘嶺。蘭新線最大の難所4000の祁連山脈越えに挑む前進型とバダインジャラン砂漠をひた走り、万里の長城の西の果て嘉峪関までの沿線風景をご紹介します。おたのしみに!
世界の蒸気機関車
都築雅人の出会いとロマンの煙情日記
©2000-2008 TSUZUKI Masato